わ〜るど

くだらないことや真面目なことを書くブログ

蜜蜂と遠雷を読んで

 

まだこの本が文庫化する前に買って、ずっと読まずにいた。

久しぶりに見つけて夢中になって読んだ。

 

 

話は変わるけれど、わたしはピアノが弾ける。

そりゃピアノなんて誰でも触れれば音が出る楽器だから、弾けて当たり前なんだけど。

人生の半分以上ピアノと過ごしてきた。とは言っても別にプロになったわけでもないし、なれるほどの才能があるわけでもない。

 

この本を読んで本気でピアノ(クラシック音楽)に関わってきたことのある人なら誰でも感じるであろう、愛情とか、嫉妬とか…心の底から感じる音楽に対する気持ちを思い出して、うれしくなった。

 

ピアノの練習はすごく地味だ。指慣らしから始まって譜読み、難しいパッセージをメトロノームを鳴らしてひたすらやる…

ステージで弾けるようになるには相当の時間が必要になる。毎日何時間も繰り返される。初めて曲に触れた時の感動なんて途中でどっかにいって嫌いになる。自分の能力のなさに憎たらしくなる。それの繰り返し。

何度も何度もやめたいと思うことがある。もう投げ出して、忘れれば楽になる。

それでもわたし(彼ら)がやめないのは、それ以上の感動を知ってるからだ。

ステージでピアノと調和できた時。(なんかカッコつけた言い方だけど、本当にそう思える時がある。ちなみにわたしがそう感じられるようになったのは大学を卒業してから)

こんな非凡な娘の演奏を聴いて、他人が褒めてくれた時。

ピアノを弾くことで自分を肯定できる時。(味方でいてくれると思える)

何より、素敵なメロディーを自ら奏でることができること。

何にも変えられないこの感情を知ってしまったら、やめられないのだ。

みんなそれをわかってる。わかっているのだ。

 

 

今はステージに上がる側ではないけど、いつかまたあの感動を味わえるならまた辛い思いをしてもいいかな、なんて思う。

 

 

蜜蜂と遠雷』音楽に対する愛に溢れてて、いい本だった。